M&Aは株式譲渡や株式交換など様々な方法があるため、専門用語の数も非常に多くなっています。ここでは、「株式移転」・「株式公開」・「株式分割」という株に関する3つの用語をご説明いたします。これらの言葉はそれぞれ異なる意味を持つのですが、語が似ているため混同しがちです。それを防止し、きちんとM&Aを理解できるようにしましょう。
・株式移転
株式移転とは、一企業もしくは複数の企業が全発行済株式を新たに設立する株式会社に取得させることをいいます。この方法は、いきなり他社と事業統合を行うと組織の対立が激化することが予想される場合などで緩やかに統合を進めていくために用いられます。
なぜ緩やかに統合を進めていけるかというと、株式移転を実施した場合、新設会社にすべての株式が移転するため、既存の会社は新設会社の子会社になり、上下関係が生まれないからです。これにより、当初は組織の軋轢があったとしても、次第に関係性も修復することが見込まれます。
・株式公開
株式公開とは、自社の株式を株式市場において売買可能にすることを意味します。
株式公開は、IPO(Initial Public Offering)ともいいます。
一般的に株式公開というと、市場から資金を得るためにする行為だと思われがちです。
しかし、株式公開のメリットはそれだけではありません。
株式公開することで会社の知名度や社会的信用力が増したり、創業者利益が獲得できるようになったり、財務体質を改善することができたりといった数々のメリットがあるのです。そして勿論、事業承継の問題解決にもつながります。
なお、株式公開に当たっては条件がありますので、入念な準備が必要となります。
・株式分割
株式分割とは、1つの株式を設定した比率に応じて分割することです。
これにより、資本金を変えることなく発行済株式を増やすことができます。
この株式分割は、原則として企業の取締役会の決議で実施することができます。
例を挙げて考えてみましょう。
1株1万円の株式を保有しており、「1:2」の比率で株式分割が実施されると、保有株数は2倍の2株所有することになり、株価は2分の1の5000円となります。つまり、所有株数は増えますが、資産としての価値は分割前と後で変化がないのです。
それでは株式分割のメリットは何になるのでしょうか。
それは、株式売買の流動性が高まるという点にあります。
株式分割によって発行済株式が増えると、それだけ取引される株数も多くなるということです。すると、株の売買が市場において成立しやすくなります。これによって企業は、新たな資金調達なしに新株を発行し、市場流動性を向上させることができるのです。
近年では、この株式分割は敵対的買収に対する防衛策として用いられることがあります。
山名誠税理士事務所は、大阪府大阪市・堺市・東大阪市や兵庫県神戸市を中心に、皆さまからのご相談を承っております。
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株式移転 / 株式公開 / 株式分割
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